Wataru Murakami 村上亘 ’Still Life Logistics 96MB’ 2017年6月17

Schildpatt Gallery@仙川五色豆では6/17,18に
Wataru Murakami 村上亘による'Still Life Logistics 96MB’展を開催します。

https://www.schildpattgallery.com/exhibition

※画像の無断転載を禁じます。

Wataru Murakami 村上亘
プロフィール
1983年生まれ。幼少期から現在に至るまで4カ国(日本、カナダ、アメリカ、ドイツ)で生活をおくる。
2006年上智大学比較文化学部卒業後渡独。国立カールスルーエ造形大学にて写真を学ぶ。
村上亘は現在もドイツを拠点として写真作品を制作している。村上の作品のベースには、15世紀から西洋美術で扱われてきた「Still Life(静物)」のもつ意味と役割についての深い洞察がある。2014年から現在に至るまで取り組んでいる「Still Life」の作品集では、被写体を、生死、生活感、清掃、消耗品、保管用具、発明品、博物館などにカテゴライズし冊子にまとめている。そこでは、村上の日々の生活の中で遭遇した物、身の回りにある物に対する「静物的」な関心が色濃く現れている。村上の作品形式は多岐にわたり、写真からなるインスタレーション、写真的映像作品など、平面的プリントに限らず写真を立体的に表現することにも関心が及んでいる。

2013年ZKM奨学生。
2015年よりポーラ美術振興財団在外研究員として活動。

村上亘オフィシャルサイト
http://watarumurakami.com/


展示コンセプト
今回の展示では、村上の所持品の中から厳選された「物」が被写体となっている。
選択された「物」は、主に村上が肌身離さず持っている物や、家族や友人から贈られた親密な物である。タイトルの「Logistics」のとおり、その無背景の写真イメージは大量消費時代におけるグローバルな物流の在り方をも表象しているが、村上はそこに個人的で親密な物、静物の歴史的文脈の色濃い花などを配置する。
かつて画一的だった「物」が親密で唯一の「物」となっていった様と同時に、それがさらに写真作品としてニュートラルな状態に純化されていく様が提示されている。かつてベンヤミンは写真=複製芸術がアウラの消失を生むと論じたが、ここでは複製可能な「物」が、写真=複製芸術によって唯一無二のアウラを備える過程が示されている。
今回の作品は村上がドイツから日本へデジタルデータを転送し、Schildpatt Galleryスタッフによってプリントされた。村上は自身と遠隔の展示環境とを繋げること、自身の制作の動線を引き延ばすことにも挑んでいる。


展示のご紹介
 Wataru Murakamiは絵画における「静物画」のリサーチを重ね、静物を対象とする写真作品を多く発表されています。彼の明らかな特徴の一つは静物写真を物として展示空間に配置するその手法です。今回の展示ではその手法をさらに先鋭化し、事務所的な風情のあるSchildpatt Galleryの空間に写真作品をインストールしていただきます。ドイツからまるでデータ転送されてくるかのように作品が立ち現れることとなる予定です。ご期待ください。
(文:hasaqui yamanobe)